一九七〇年代から日本の人口の高齢化が急速に進みはじめたのを受けて政府が音頭をとり定年制の延長に努力した結果、今日では大半の企業が定年年齢を五五歳ではなく六〇歳に定めるようになっている。しかし、それでも日本人の寿命の大幅な伸びにくらべればそれはわずかな変化でしかない。日本人の寿命が戦後二〇年以上も延びたという事は、その一部には幼児死亡率が低下した事による統計的な効果が含まれているとはいえ、やはり多くの日本人が年をとっても元気でくらしているという事にほかならない。
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印象的に言えば、今の六〇歳の人は昔なら四〇歳くらいの人の体力や元気があると言ってもよいだろう。そのように考えるならば高齢化は経済活力の低下であると考える必要はなく、これらの人々の人的資源をいかに活用するかによって日本の経済社会の可能性が大きく変わってくるという事である。実際、六十代の人々の雇用労働への参加率は近年わずかではあるが、むしろ上昇の気配を見せている。これは人々の就業意欲があるところに、企業の高齢労働力活用への志向性が少しずつ高まっている事を示唆しているのかもしれない。五十代の後半から六十代の人々の活力をいかに高めて活用するかを、これまでの日本の社会や企業ではあまり考えてこなかった。しかし、これからはそれが企業にとっても経済社会にとっても大きな戦略課題となる。これに成功すれば、女子の活用と合わせて日本の企業も社会構造の変化に適応したノーマライズされた企業になるのである。