「選考は四月から」のウソ

2012.01.07

日本経団連は「倫理憲章」で企業の早期採用の縛りをかけようとしているが、大量採用する企業が母集団形成のため採用活動の前倒しを改めようとしない。「選考は四月から」とされながら、四月中には一斉に内々定を出しているのが実態である。選考活動を例えば、せめて四年の夏以降に遅らせ、面接などで選考や学校の成績を問えば、採用活動の中身も随分と変わるはずだ。先述したように最近の大学教育は教育を通じて、「文章作成力や情報収集・分析・発信能力、状況判断・行動力」、「自分の頭で考え、行動する力」などを鍛える内容に変わりつつある。

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卒論はまさに深く考える力、問題発見・解決能力を育成する機会である。学生にとっても自分のやりたい仕事や適性を見きわめることができ、就きたい業種や会社を探す少しばかりの余裕も与えられよう。実は多くの企業の採用担当者も「学生が第一志望の企業を絞りきれていない段階で、内々定を出しても内定辞退者を増やすことになりかねない。入社一年前に内定を出すとフォローも大変だ。以前(一九九〇年代半ば)のように夏休みに短期集中して採用選考するのが理想」というのが本音なのである。現に、キャノン・マーケティング・ジャパンが今年選考時期を夏休みに遅らせ、面接では「卒論、卒研など大学で何を学んだか」を聞いている。三菱商事や三井物産など大手総合商社も採用選考時期を遅らせることを決めている。一部ではあるが、企業が変わり、大学も変わりつつある。当然ながら、社会や企業の人材ニーズに応える教育を行っている大学が企業から評価され、就職率が上がり、大学自体の評価を高めるといった大学も出てきている。